約20年前・・・

とある駅で「沖縄旅行39,800円！！」と書かれた奇麗な海のポスターが目に入った。青い海に白い砂浜・・・なんてキレイなんだろう・・・。
僕はすぐにスイッチが入ってしまい、急いで当時住んでいたアパートに戻り、当時同棲していた彼女と一緒に貯めていた500円玉貯金箱を缶切りで勝手に開けお金を数えた。少し足りなかったが、残りは貯金を使おうとこれまた勝手に計算していた。
家に戻ってきた彼女に開口一番「沖縄に行こう」と伝えた。突然の事と勝手に二人の貯金箱を空けたことに彼女はご立腹。数日かけてなんとか彼女をなだめ沖縄旅行計画を立てた。

旅行当日、那覇空港に着くとすぐにレンタカーを借りました。レンタカーは青のスズキ スイフト。何せ沖縄には交通機関が少なく、電車も地下鉄もありません。※今はモノレールがあるらしい。
観光地を数か所回り、宿泊先である恩納村を目指しました。
ホテルにチェックインし急いで部屋に入りカーテンを開けると、あの駅のポスター同様　青い海に白い砂浜・・。夢が叶いました。
そして夕食。　夕食は地元の人が行くような場所に行こうと二人で決めていました。
お店の名前は「居酒屋　美ら海（ちゅらうみ））」
好き嫌いの無い僕達はとにかく沖縄でしか食べられないものを頼みました。海ブドウ・グルクン・島らっきょなどなど。
オリオンビールを飲みながら食事を楽しんでいると、早速地元の人がお店に増えてきました。
お酒もすすんできたのか、段々と地元の方々の声も大きくなり声が聞こえてきましたが方言がきついため何を言っているのか全く分からない。その時たまたま隣に座っていたおじさんが僕たちに声をかけてくれました。今でもその方の名刺は持っています。彼の名は　「登山　登」※個人情報のため少し変えています。
彼の自己紹介は「上から読んでも　登山　登　下から読んでも　登山　登」から始まりました。こちらも自己紹介をし、北海道の話をしたり、沖縄との話をしたりと一緒に楽しんでいました。彼は泡盛を謎の茶色い液体で割って飲んでいました。聞くと「ウコン茶」だと言う。彼曰く、ウコン茶は、悪酔いもせず二日酔いにもならない魔法のお茶だと言うのだ。
とにもかくにも、楽しい時間を過ごしました。すると彼は突然、僕達を気に入ったという事で、僕達を友達に紹介したいと言い出し、彼の行きつけのスナックに行くことになった。
まず、ママが出てきて挨拶をしました。あの顔は一生忘れられません。だって、顔の色は真っ白なのに、首から下は真っ黒だったので。化粧のせいなのは分かりますが、あんなに色の違う体は後にも先にも見たことがありません。
時間が経ち次々に彼の友達が集まり、最後は20人くらいは居たと思います。おしゃべりをし、カラオケを歌い、大パーティーとなりました。そこでも何故か沖縄の皆さんは口を揃えて「ウコン茶」の凄さを語っていました。これを飲むと悪酔いしないし、二日酔いにもならないと、、
が残念な事に地元の方々はどんどん酔いつぶれ、最後に僕達は彼にお礼を言い一緒に記念写真をとりパーティーはお開きとなりました。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、沖縄旅行は無事終わりました。

その時一緒に旅行した彼女は数年後私の妻となり今に至ります。

僕は今でも500円玉貯金をしています。でもあまり貯金箱には近づきません。何かこれに近づくと怒られるような気がして。
青い海と白い砂浜。またいつか行きたいと思います。

あみだ堂　能呂慎太郎