社長日記

2020.04.12
有難迷惑

有難迷惑の状況って非常に人間らしいと思いませんか?
自分が誰かのために良かれと思って行った行為が、かえって相手に迷惑をかけてしまうという事。

アルフレッドアドラー(1870~1937 オーストリアの心理学者)は「課題の分離」という論理でこれを説明しています。
要は、自分の考えた事を言葉や行動に移す。←ここまでしか自分では責任を負えないという理論。
相手がどう思うかは相手の課題であり自分ではどうすることもできない事の‟事実”を提唱しています。
これは相手がどうでもいいという訳では無く、相手の受け取り方を操作出来ないことは絶対的な‟事実”という事です。
これってものすごい分かりやすい理論ですよね。
人間は本当に複雑な生き物です。顔は笑っていても心の中では怒っていたり、怒ったふりをしても本当は喜んでいたりします。仮に(Aさん)がいたとして、Aさんの生まれ育った環境、私とAさんの関係性、今まさに話している話の内容、そしてこの話が完結した後のAさんの状況変化・・・等々を踏まえたうえでAさんの発言を聞いたとします。同じ内容の話を仮に(Bさん)から聞いたとしても、Bさんの背景がAさんと違うと受け取り方は全く違います。人間は本当に複雑で繊細で勝手に解釈する生き物です。
‟この人こんなに笑顔で話しているけど、本当は泣きたいほど辛いだろうな”とか、
‟平然としてるけど、本当は飛び上がりたいくらい嬉しいんだろうなぁ”とか多々思う時があります。
実際、人間の微妙なシチュエーションひとつで2時間の映画を作る事も出来るし、何百ページの小説を書く事も出来ます。
ただこの「課題の分離」を理解出来ないと変な忖度で自分を苦しめる事となります。
答え合わせの出来ない問題集の答えを考える程不安で難しいものはありません。

お経の般若心経で、 「色即是空(しきそくぜくう」と言う一節があります。
物事は本来「空」=「無」なのに、自分で勝手に、他人の、良い悪い・好き嫌いのレッテル「色」をつけて勝手に一喜一憂している事の様を表しています。
人間関係を楽しむか苦しむかはこの部分の‟事実”と‟理解”だと思います。
「自分の考えはだけ分かっている事実」「他人の気持ちは絶対に分からない事実」←これ以上は自分の力ではどうする事も出来ないことの事実への理解です。他人の気持ちは想像するしかないし分かりたくても絶対に分からないのです。

般若心経の「色」の解釈はあくまで事実を証明しているだけですが、「色」自体を非難する人もいます

「善人はこの世で多くの害をなす、彼らがなす最大の害は、人びとを善人と悪人に分けてしまうことだ。」
これはアイルランドの詩人 オスカーワイルド(1854~1900)の言葉です。
でも私はそうは思いません。「色」の事実は分かるけど悪いことだとは思いません。自分の気持ちに責任を取れるのであれば、人間関係を楽しむにあたってはこの「色」が大切だと思うし人生のスパイスだと思う。
人に自分の気持ちを強要することは良くない事ですが、他人の気持ちを自分の理解の下に想像するのは全く問題は無いと思う。何故なら自分の考えを確立するにあたっては、やはり他人あっての事だと思うので。

有難迷惑・・・
結論としてはこう考えました。
自分の気持ちと意見を信じる。 他人の幸せを願う。
この二つしか無いと思います。

それでは

あみだ堂 能呂慎太郎





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